元葬儀屋が暇なときに書く葬儀とか終活のブログ

葬儀のマナーとか調べればいくらでも出る記事はありません。

おひとりさまの死後処理から葬儀・供養まで

最近は終活という言葉は割とメジャーになってきたけれど、どんな人が終活を積極的にすすめているのか疑問でもあります。

 

実際に葬儀社に勤めていた時でも事前相談という形で葬儀やお墓の相談を受けたことがありましたが、特別孤独ってわけでもなく娘が嫁いで近くにいないから事前に相談して方針を固めておきたい人だとか、なんとなく自分の葬儀を考えておきたい人が多い印象でした。

 

相談した内容を残される人に共有しておける状態だと、葬儀社としても間違いなく仕事につながりますし、事前に内容が固まっているので打ち合わせなどもスムーズに進みます。

 

互いにストレスなく事を勧めていく事ができるので相談しておくということは、老後に不安を抱えず豊かに暮らすという終活の定義に正にあてはまっています。

 

しかし、誰も頼る人がいない場合はどうすればいいのでしょうか?

おひとりさまは自分が死んだとき、誰が葬儀を上げてくれるのかというところが不安だと思います。

 

おひとりさまは「死後事務委任契約」

※現在健康であることを前提にお話しします。

基本的に読んで字のごとくですが、死亡後の事務処理・遺品整理~葬儀・供養~遺産処理まで死後事務処理の一切を委任する制度です。

 

報酬額に関しては、依頼する業者によって多少前後する部分はありますが、何を依頼するかで変わります。自分が生前に処理しておけることも頼もうとするとどんどん高くなっていきます。

 

通常は、50万円から100万円ほどで依頼できる業者がほとんどです。

事前に支払ってしまうパターンと、遺産から支払うパターンと2種類から選択することができます。

 

注意点として

契約するにおいて一番重要なのは自分が現在自由に動けて元気であることです。

様々な事を確認しながら進めていくわけですから、ある程度の体力は必要ですし、

なにより認知症が入ってくると、責任能力が問われ契約できなくなります。

 

死後事務委任は健康な方であれば60歳前後で契約される方が多いです。

頼れる方がいない状況なのであれば、話だけでも聞きに行ってもいいかと。

老後自分の時間を自由に使えるようになるとして、安いと感じるか、高いと感じるかは人それぞれですが、前者であれば契約しておいて損はない制度です。

 

死後事務委任に関しては、別で詳しく書きたいのでこの程度にしておきます。



委任した場合、葬儀形式は直葬・墓は建てない

ほとんどの場合、死後事務委任をする人は財産を任せるほど頼れる人がいないか、誰にも迷惑をかけたくない、という方々だと思います。

 

会葬者数や費用の観点から葬儀の形式は直葬になることがほとんどです。

健康な人の場合は、いつ死ぬかわからない上に、会葬者来るかどうか分からない状況でしっかりと葬儀をするという選択にならないのです。

 

しかし、葬儀はきちんとやらないと成仏できないとお考えの方も、最後ぐらいはパーッとやりたいという方もいます。

まだ一般的には普及していないですが、そんな人には生前葬という形式も選択の1つに入れてはいかがでしょうか。



お墓、供養の問題について

誰も拝んでくれる人がいない場合や管理を任せられる人がいない場合は、最終的に形の残らないものを選択しましょう。

 

実際、色々な霊園や寺院墓地で無縁仏が沢山います。一応土地の管理者は血縁者や関係者に連絡を取り、諸々確認した後で墓地をリセットします。

しかし、無縁仏というものは連絡も繋がらずどうしようもない墓の事を指すのが一般的になっている今日この頃です。

 

もちろん管理費なんて振り込まれていませんから、墓石ぼろぼろ草ぼーぼーで放置されます。どんな理由であろうが契約満期を迎えるまで名義人の許可なしでは取り壊すことができなくなっている状態。取り壊すにも撤去作業費がかかります。例えばその無縁仏が公営霊園にある場合は最悪税金から賄われるということです。

 

もしかしたらお金持ちのおひとりさまは墓を買ってしまった人もいるかもしれません。

 

自分の墓も買ったし安心! ではなくて、それをあなたが死んだ後、回忌法要が全て終わり、撤去のときまで責任もって管理してくれる人がいるのかが重要です。

 

少なくとも私は独り身に墓石の購入は勧めません。

 

例えば、両親が入っているお墓があるから流れからすると自分もそこに入る予定という人。

管理してくれる人がいない場合は元気なうちに墓じまい(改葬)をしておくことをおすすめします。

 

改装をするためには取り出した遺骨の次の行き先の情報が必要なのですが、散骨など形に残らない形式を考えている場合は、次の行き先は自宅にしておけば大丈夫です。自宅安置という形式に一時的にしておくという方法です。

 

改葬の進め方について書いたもの

jjjjj.hateblo.jp

 

ほとんどのおひとりさまは、管理の問題や迷惑をかけたくないとお考えかとおもいます。

 

 

供養の方法 海洋散骨・樹木葬

散骨に関しては遺骨を粉にする粉骨という工程が必須になってきます。

なぜかというと、そのまま遺骨を撒いてしまうと、最悪の場合遺骨遺棄に問われる場合があるからです。

また、遺骨の粒も2mm以下にするという制限が設けられています。

漁師さんの網に引っかかって骨が上がってくるなんてことも稀にあるそうですし、勝手にやってしまうと危険を伴うので散骨の業者にまとめて依頼するのがベストです。

 

粉骨の料金は関西など一部しか収骨しない骨の量が少ない地域は1万円で行えます。関東など全骨を収骨する地域では一般的には3万円程度が相場です。

 

専門業者の粉骨は減菌処理がされていたりと、長期的な自宅安置も考えられた処理になっているので、しばらく安置する場合は間違いない選択です。

※遺骨はカビが生えることがあります。

 

また、体積的には3分の1程度まで小さくなります。ミニ仏壇、骨壺など手元供養が最近の流行りという事もあり、遺骨スペースを省スペース化したいという理由で粉骨される方もいるくらいです。

 

手元供養専用のミニ骨壺に入りきらなかった粉骨は、散骨したり、ダイヤモンドにしたりと供養の方法も多様化していますので、自分にあった形式を選ぶことも簡単になってきています。

 

ちなみに、海洋散骨の業者は沢山ありますが、業者委託の散骨の場合は大体5万円程度が相場です。海洋散骨に関しては2mm以下の粉末にするということ以外まだ法律的に詳しく定められていないので、メジャー化していってしまうと敷居の高いものになってしまう可能性もありますので、今のうちに生前予約という形で抑えておくといいかもしれません。

 

よく海洋散骨と樹木葬で迷われる方がいますが、一部遺骨は手元供養という形で残すこともできます。

また、樹木葬などの骨を収蔵するタイプを選ぶのであれば事前に分骨しておかないと後から取り出せない場合があります。

分骨が必要ないのであれば方法としてはどちらでも問題ないかと思います。

 

費用的な問題としては樹木葬の方が、霊園に管理される土地ということでもありますので、地域によって、収蔵する年数によって価格は大きく変わります。

また、ネームプレートを用意したりする霊園もありますので細かな追加費用のチェックも必要になってきます。樹木葬は海洋散骨より割高になる事が多いです。

 

やはり一番気になるのは費用面だとおもいますが、そこまで気にしないのであれば、最終的にどんな土地に還りたいのか考えると場所や方法が決まりやすいです。

 

多かったのは、富士山や沖縄の海でしょうか。

 

https://www.fujireien.or.jp/grave/hillofcherry.html

 

https://blueoceanceremony.jp/

 

樹木葬は霊園としても省スペースで多くのご遺骨を収蔵できる方法として、採用する公営霊園もどんどん増えていますし、海洋散骨に関してはネットワークが豊富にあるので全国対応の業者も多く、一部では海外にも対応しています。

 

最近は供養の方法がありすぎて難しいと感じる方も沢山いるかと思いますが、おひとりさま目線で考えると、現時点では業者もシステムもしっかりしている上に、ランニングコストがかからない海洋散骨・樹木葬をおすすめします。

 

また、今後画期的なおひとりさま供養システムが出てきたら書きますね。

少しでも参考になれば幸いです。