元葬儀屋が暇なときに書く葬儀とか終活のブログ

葬儀のマナーとか調べればいくらでも出る記事はありません。

【コロナ葬】緊急事態宣言時の葬儀・火葬場の対応について

2020年4月の記事の追記です。

 

新型コロナウイルス感染者が増加しているいま、外出自粛など個々で意識して対策を行っていると思います。

 

緊急事態宣言が発令されても、火葬場や葬儀式場、葬儀社は変わらず動き続けます。

しかし、現在の状況の中で通常の病死や、老衰などの自然死による身内の不幸があった場合はどのように葬儀を進めていけばいいのか葬儀社としての対応をまとめてみました。



感染症の疑いのない場合の葬儀

通常の病死や老衰、事故死などの場合は昨今の新型コロナ感染症の拡大を防ぐような

小規模形式をおすすめしていくようになります。

葬儀式場側も感染拡大を少しでも予防するよう緊急事態宣言の期間内の対応方針を次々に発表しています。

 

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東京23区で最も稼働している貸し式場の発表です。

 

この発表からわかることとしては、

密集しないようにする・集まる時間を少なくする

という当たり前のことを式場側から葬儀社に向けて努力するよう指示しているということです。

 

葬儀はお経や、お花入れなどのセレモニー部分でどうしても1ヶ所に留まる時間が長くなってしまいます。

東京では、通夜振舞いや精進落しなどの食事の場は人が集まる時間を更に長くしてしまうため省略していく傾向になっています。

現時点では解除されていますが、緊急事態宣言が発令された際には先程貼った画像のような対応に戻ることが考えられます。

 

しかし、現段階では感染対策は継続して行っていく必要があります。

 

可能であれば

近い方たちだけで1日葬を行い、食事は持ち帰る

この形式が密集する時間を一番少なくできる方法です。

 

1日葬は簡単に言うと通夜をやらない告別式だけの葬儀です。

都市部などご近所付き合いのない地域で多く、2日間全く同じ人が集まるのであれば1日に集約してしまえ!という考えのもと生まれた形式です。

 

菩提寺などお付き合いのある宗教者がいる場合は1日葬でお勤めいただけるか確認する必要があります。

 

 

このような形式が密集する時間を省略できることは間違いないですが

しっかりとお別れの場を設けたい人は

葬儀を急ぐ必要はないです。

 

緊急事態宣言時では人数の制約があるため、火葬を先にして落ち着いたらお別れ会などをすればよいと思います。

 

遺族としては、しっかりと送ってあげたいということは誰もが思っていることと思います。

 

画像に書いてありますが10名程度に人数を絞るという点は、大半の遺族は難しいのではないかと思うのです。

式場の規定だからといって、会葬のお断りを入れることが心苦しいですし、大切な人を亡くして心身疲れ切っているときにそんな連絡を回さなくてはいけない状況も考えたくありません。

何より制約のある時点で満足のいく葬儀ができるようには思えません。

 

リスクの少ない葬儀の形式

現時点では最悪の事態を想定して、

最少人数で火葬を先行し、落ち着いたころに

「お別れ会」や「偲ぶ会」といった形式で一般向けに葬儀を行うべきだと考えます。

 

お別れ会などは、東北など雪深い地域で古くから行われている「骨葬」と呼ばれる葬儀の形式と同様です。

※先に火葬をし、後日お骨を祭壇に組み込み一般向けに葬儀をすること。葬儀が先の地域ではこう呼ばれています。

 

現在でもこの順序で葬儀をしている地域は多くあり、変なことではありません。

むしろ、葬儀に向けての十分な準備をする期間ができるので、満足のいく葬儀ができるのではないかと考えております。

 

また、現在非常事態宣言を受けて営業規模を縮小している式場も多くあります。

これにより葬儀までの日数が何日も空いてしまう可能性が高いです。

 

日数が空けば空くほど、ドライアイスの料金や霊安室の安置代金など日毎に増加する料金が高くなりますし、式場側は営業規模を縮小していても料金は安くなっていないので、葬儀費用が通常より割高になってしまう可能性も考えられます。

 

お亡くなりになられた志村けんさんのように、死因や規模は違えど感染リスクを最小に抑える動きを1人ひとりが意識して行っていかないと、葬儀業界における大きな打撃になる可能性もありますし、葬儀から感染が拡大したら遺族も各方面から攻撃をされることになるでしょう。

そして、式場もしばらくは使えなくなるでしょう。

 

過去実際に愛媛県で葬儀によるクラスターが発生した事例もあります。

 https://www.yomiuri.co.jp/national/20200403-OYT1T50166/

これは愛媛県でのニュースですが、緊急事態宣言に該当する地域は特に危険度が高いことは容易に想像できます。

 

愛媛県の事例から、緊急事態宣言に該当しない地域でも不特定多数の会葬者を呼んでしまうとそこから感染拡大していく可能性も十分に考えられます。

 

ご遺族でも特に喪主や施主にあたる方は会葬者の方たちにご挨拶しなくてはならない立場です。

もし会葬者の中に無症状の陽性者がいた場合は感染力の極めて高いウイルスであることから感染を逃れることは難しい状況になるでしょう。

遺族としても、葬儀社としても「私たちは大丈夫」という根拠のない自信は捨てて、

可能な限り新型コロナウイルス感染を予防できる形式での葬儀をしなくてはならないでしょう。