先日、私が以前勤めていた都内の葬儀社が新型コロナウイルスによって亡くなった方の直葬対応をしたので、色々と教えてもらいました。
制限がある中でもご遺族様には礼節を欠かないように対応したいので、忘れないように書き留めておこうと思います。
この記事は葬儀従事者向けの内容となっております。
新型コロナ 指定感染症に指定される。
厚生労働省により、新型コロナウイルスは指定感染症に指定されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000589748.pdf
指定感染症の対応など
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000589260.pdf
※指定感染症:一~三類感染症に準じた対人、対物措置
※政令で指定。一年で失効するが、一回に限り延長可
つまり、24時間以内の火葬が可能ということ。(通常の病死であれば24時間以内の火葬は禁止されています)
ただし、必須ではないのでご遺族と相談し方針を決めていく必要があります。
指定医療機関内での対応(対象者死亡時)
※知り合いが体験した取引先の病院内での話ですので施設によって少し対応が違うかもしれません。
ご遺体移動の制限
基本的に新型コロナウイルスによって亡くなったご遺体は、
医療機関内から火葬場へ直行することを推奨しています。
火葬場側も火葬当日の決められた時間に到着するよう指示しています。
むやみやたらにご遺体を動かして感染拡大!なんてことになったら病院や御社の営業に支障が出る事態になりかねませんので1人ひとりが意識を高めて現場にあたる必要があります。
死亡時の流れ
接触する人間を1人でも増やさないためにご遺体は亡くなった時点で
①看護師の手によって非透過性の納体袋に納められ、消毒されます。
※この納体袋は病院側が所持していました。新型コロナウイルス感染症の指定を受けている病院は所持しているようです。
非透過性=中が見えないということではなく、体液や空気が漏れないということ。
しかし、指定を受けている病院はごく一部です。病院からの紹介がメインの葬儀社はこれを機に用意しておいたほうが吉。
病院で使用していた袋は2重構造になっており、袋越しにはなってしまいますが、この時点での面会は可能です。
院内でも移動制限区域が定められているため、移動前(病室内)でしか面会することは難しいと思われます。
また、棺に何か入れたいものがある場合は院内にいるうちに準備してもらう必要があります。
※例外として、台東区の永寿総合病院など院内感染が認められている病院は、基本的にどのような状態の患者であっても外部からの面会禁止になっている施設が多いため、上記のような対応も不可能です。
②院内霊安室等で葬儀社が用意したお棺に看護師が納棺します。
※この時点で棺の蓋の目張りも行ってしまいます。
※病室からの移送も定められた看護師が行っています。
病院によって納棺は葬儀社がするところも多いそうです。
「袋に入っているから、もう安全!」ではなくて、院内感染を増やさない動きを優先するのであれば、関係してくる人間を絞るという考えに至ると思いますので、病室からご遺体を連れてきた人間が納棺するべきだと思うのですが。
どちらにしても院内にいること自体が危険ですので感染予防の装備はしっかり揃えておきましょう。
そして、
③火葬の日時に合わせて出棺するという流れになります。
基本的に亡くなったらすぐに納体袋に収められますので、葬儀社が直接ご遺体に触れることはありません。
懸念事項
最近都内ではご遺体は自宅へ帰らず火葬場や式場の霊安室に安置することがほとんどですが、新型コロナウイルス感染者は預かってくれません。
仮に預かってくれる霊安室があったとしても、感染拡大のリスクを考えれば葬儀をしたいというご遺族の意向であっても、感染を予防するために直葬を勧める方針になっていくでしょう。
新型コロナ死亡者は直葬を勧めます。
遺族の中に陽性の人がいる可能性が一番高い状況で、集まる場を設ける行為が危険すぎます。
また、新型コロナが落ち着かない限りは、あまり人を集めて何かをするという事も世間的には反対されていますから、落ち着いたらお骨の状態で葬儀をするという選択が互いにベストです。
これは骨葬という形式で東北地方では一般的な葬儀の形式でもあります。
また、葬儀の順序として同様の形式である「お別れ会」や「偲ぶ会」という形で開催してもいいでしょう。
火葬場の対応方針
時間や会葬人数、移動制限区域の違いは火葬場によって若干違いますが、その他の部分に関してはほとんど共通しています。
斎場での日常業務について
ご来館されるご遺族、ご会葬者様へは以下の事項をお願いしてください。
・風邪 発熱(37.5度以上)他の諸症状のある方のご来館は極力お控えください。
・マスク着用でのご来場を推奨してください。
・うがい、手洗いや手指消毒他を積極的に勧めてください。
・身近に新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者と認定された方がいる場合は、事前にご連絡をお願いします。
・休憩室の入替時毎にアルコールを使用して清掃を行うことをご了解ください。
ご遺体の取り扱いについて
・霊安室内の衛生管理は従前同様と致します。
・新型コロナウイルスが死亡原因でなくとも、感染症または類似原因(結核・肺炎等)の場合は搬入前にご連絡をお願いします。
社員の対応について
当面の間、マスク手袋等を着用して業務を行います。状況に応じて更に感染予防レベルを引き上げることがあります。
新型コロナウイルスに感染したご遺体のお取り扱いについて
対象医療機関にて納体袋へ密封し消毒をお願いします。
※ご遺体引き取り時は、医療機関内で納棺をお願いします。
対象医療機関より火葬場へ直行にて搬送をお願いします。
※ご遺族様との打ち合わせに際し、できる限りご火葬を先行し、後日お骨飾りにて式等を予定されますことを推奨いたします。
ご火葬は友引日以外の16時にて実施いたします。
・来場時間は16時半を厳守させていただき、ご到着後は速やかに火葬を開始させていただきます。
・場内でのお別れ、お花入れ等はできません。(お写真掲額は可)
・当面の間、1日のお取り扱いは2件までのご火葬とさせていただきます。
・ご遺体のお預かりはいたしません。
※1件対応と2件対応の火葬場があります。現状、大半が1件対応です。
職員は防護服にて対応させていただきます。
ご火葬立ち合い者、ご会葬者様は、ご担当の業者様含めて5名以内とし、場内の移動区域を制限させていただきます。
※立ち合い人数の変更がありました。詳細は後述します。
・ご火葬中は炉前ホールの制限区域内での待機といたします。
・制限区域は都度完全消毒させていただきます。
・報道関係者等の第三者のご来場はお断りいたします。
以上が火葬場の対応です。
葬儀社であれば、3月頭に火葬場からの通達が来ているはずです。
3月28日 追記
先日の東京都の発表を受けて、都内23区の火葬場ですが業者1名のみの立ち合いで遺族立会を禁止する火葬場も出てきました。
問い合わせたところ、都内23区で新型コロナウイルス感染死亡者を受け入れている火葬場は基本的にこれに近い体制をとるようです。
ご遺族が同行可能な火葬場もありますが、面会室~火葬炉~収骨室という火葬での通常の部屋移動が濃厚接触者であるためできません。
火葬場に行っても面会できない、収骨できない状況であるということになりますので、火葬に関してはできる限り葬儀社にお任せ下さいという方針だそうです。
この火葬場の判断はご遺体というよりもご遺族が濃厚接触者であるということを強く理解した上で、感染拡大を防ぐためのものです。
火葬場はテレワークができない業態ですし、毎日何十、何百人のお客様を相手にする仕事です。社員やお客様を守るという意味でもこれが最善なのではないでしょうか。
併せて確認してみてください。
注意したいポイント
人数制限がある
担当者含め5名→火葬場によりますが原則葬儀担当者1名のみ
※火葬場によって人数は若干異なりますが、面会不可・移動の伴う収骨などできないため、基本的には葬儀担当者のみの立ち合いを推奨しています。
移動制限がある ※ご遺族立ち合いの場合
担当者含め、ご遺族は火葬炉前から動くことができません。
日によって状況は変わりますから入場導線も事前に確認しておく必要があります。
時間が決まっている
16時の火葬で1日2件とされています。
※1件対応の火葬場が多いです。(4月現在)
通常業務は15時の火葬で終了です。15時のご遺族が火葬場から帰った後に火葬するという意味で16時だそうです。
お察しの方もいるかと思いますが、1時間で火葬~収骨~解散ができるご遺族はほとんどいません。
16時に15時のご遺族が撤収していることが前提の時間設定になっていますので実際の開始時刻は16時半ごろになるでしょう。
※火葬場によっては16時半にあらかじめ設定されているところもあります。
火葬炉前でのお別れ・お花入れができない
感染リスクを考えるとできなくて当然ですが、ご遺族様には少し心苦しい想いをさせてしまうことになることを予め了解いただく必要があります。
病室などの密閉された空間で面会・お別れを済ませておいていただくことが必須です。
さいごに
ここまで書いてみて思ったのは、新型コロナの受け入れ先に指定されている病院の院内業者しか経験することがないであろうレアケースであるということです。
23区に関しては、レアケースでもなくなってきました。院内業務をしている葬儀社は皆意識しないといけない状態になってきています。
通常とは違う順序のお客様ケアが必要ですし、院内業務をしているのであれば看護側の対応も打ち合わせておかないといけません。
また、霊安室がない病院の場合はどうするのか段取りしておかないと危険です。
院内にいるうちにしっかりとお別れができる状況を作り上げることを考えていかないといけないです。
あと、死因に肺炎と書かれるときのパターン貼っときます。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=5190
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